建築

MAR,10.2019_アアルト展の会場設計について

告知もかねて、「アルヴァ・アアルト -内省する空間-アアルトの図書館と住宅」展の会場構成にあたって考えていたことを書いていきます。 www.ohmura-takahiro.com この展覧会はアアルトの住宅と図書館の内省的な空間の質に注目したもので、中心となる展示…

MAR,8.2019_展示什器メイキング

堀越くんが制作した展示什器のメイキング動画+会場風景の動画です。ぜひご高覧ください。 youtu.be - 展示台はホームセンターにて廉価で手に入る素材(ラワンランバーコア、赤松60mm角材)を用い、同時に(ランバーコアの端材を梁や貫に使ったりして)歩留ま…

MAR,6.2019_〈告知〉アアルト展はじまりました

フィンランドの建築家、アルヴァ・アアルトの展覧会「アルヴァ・アアルト 内省する空間」展が開催されています(〜3月17日)。ぼくが会場設計を担当し、同期の堀越一希が展示什器の設計・制作を担当しました。東京ステーションギャラリーで開催中の「アルヴ…

FEB,22.2019_展覧会準備

バタバタしていて全然更新できず、、。修士設計の講評会についてとか、書きたいことはあるのだけど。 というのも(告知をかねてかくと)、3月4日から田町の建築会館ギャラリーで開催される展覧会「アルヴァ・アアルト 内省する空間」の会場デザインをやって…

FEB,3.2019_岡崎乾二郎『抽象の力』

岡崎乾二郎の新刊『抽象の力』は、2017年に豊田市美術館でおこなわれた同名の展覧会に合わせ書き下ろされた長大な論考(展覧会の公式サイト上で公開されていて、個人的には当時何回も読み返した論考だった)を中心に、ここ10年余り期間に書かれた岡崎さんの…

FEB,2.2019_中平卓馬のアナーキズム

Google Search Consoleをチェックしていると、「中平卓馬」という検索ワードでこのブログに到達していただいている方が非常に多い(切ないことに、ぼくの名前で検索してくれている方よりも多かったりするくらいだ)。ということで今回は、「次回につづく(多…

JAN.21,2018_家形と家型

1 《代田の町家》(設計: 坂本一成、1976)の発表時にはまだ「家形」あるいは「家型」という言葉は用いられていない。それどころかこのプロジェクトはもともとRCで計画されていて(最初しったときはびっくりした)、ゆるい勾配の切妻かつ袖壁を備えたあの外…

JAN.18,2018_四次元が見えるようになる本

後輩から教えてもらった『四次元が見えるようになる本』(著者は数学者の根上生也さん)という本がすごくおもしろかった。アナロジーとかではなく、本当に四次元がみえるようになってしまえる本だった。 とくにおもしろいのが、著者が “四次元を見るための奥…

DEC.30,2018_(独断と偏見による)世界の若手建築家特集

○年末である。テレビは特番ばかりになってきて、この記事を書いている今は日テレで出川さんのドッキリをやっているのだけど、これを見ているとなんだか徐々に作業のやる気が削がれていく気がする。だらだらせよ!だらだらせよ!、と天から指令を受けているみ…

DEC.19,2018_ソル・ルウィットについて

ソル・ルウィット(Sol LeWitt,1928-2007)のプロジェクトで特徴的なのは、構想された概念(concept)がまずもってあり、展示される作品において展開されるのはそれを「表象する手続き」であるということだ。彼の言葉を借りれば、概念(concept)を表現する…

DEC.14,2018_方位論文を近いうちにまとめようと思う

○ 最近カントをよく読んでいるが、今更ながらあらためて、カントめちゃくちゃおもしれ〜となっている。ただ単純に読み物として面白い。『カント事典』という書籍もその内容の充実っぷりが神がかっていて、流し読みするだけでもすごく楽しい(日本のカント研…

DEC.8,2018_眼の家

○プロジェクトを更新。 www.ohmura-takahiro.com

DEC.7,2018_ 釜石→田老

東北で撮った写真⑥ ○東北で撮った写真は今日で終わり。下は新井さん設計のホールだけど、これは陸前高田から釜石にいく途中に寄った建物だ。震災前に竣工したホールだけど、震災時には避難所として、その後は復興拠点として活躍したことで有名。断面的に非常…

DEC.6,2018_ 唐丹小学校/中学校/児童館

東北で撮った写真⑤ ○ 唐丹地区は震災による大きな被害を受けた釜石市の小さな漁村集落だ。被災した小学校・中学校・そして児童館の再建を手がけたのは乾久美子+東京建設コンサルタント。乾さんらしく実に真摯な、こちらの背筋がピンとのびるような素晴らしい…

DEC.3,2018_南三陸→陸前高田

東北で撮った写真④ ○南三陸から気仙沼を経由して陸前高田へ。陸前高田ではサイボーグ化した「奇跡の一本松」を見たが、それよりもベルトコンベア施設の名残がすごく印象に残った。陸前高田でおこなわれたのは市街地全体を12mかさ上げするというものすごい工…

NOV.29,2018_大川小学校

東北で撮った写真③ ○ 東日本大震災で最も悲劇的な被害を受けた小学校のひとつが大川小学校だろう。 津波到着まで50分という時間の猶予があり、さらに学校のすぐ裏手には日頃から椎茸栽培のために登っていた裏山という避難場所があったにもかかわらず(実際こ…

NOV.28,2018_女川町と坂茂

東北で撮った写真② ○ 石巻から隣町の女川町へ。こちらも大きな被害に遭った町だが、駅前はしっかりと復興していた。女川はもともと石巻線の終着駅があった場所で、駅は港まで伸びていたのだけど、現在では400mほどセットバックした位置に動かされている。線…

NOV.24,2018_東北で撮った写真

東北で撮った写真① ○ 仙台でおこなわれた日本建築学会大会のあと東北の被災地を車で巡ったので、そのときの記録写真を少しずつアップしていこうと思う。3.11の直後に複数の大学が協同しておこなった、津波によって失われた街を模型化するというプロジェクト*…

NOV.12,2018_イタリア旅行最終回

イタリアで撮った写真⑭ イタリアの写真は今日でおわり(やっと終わった〜)。ようやく日常の日記に戻れそうだ。とりあえずヴェネチアのまちなみ。 うそみたいな風景がつづく。ベネチアでもマイナーな場所の写真ばかりとった気がするので、人があまりうつって…

NOV.11,2018_ヴェネチア・ビエンナーレ

イタリアで撮った写真⑬ 時間が全然なかったので、ヴェネチアへ到着してすぐに、急ぎ足でビエンナーレの会場へ。ざーっとみる。ほんとにざーっと、、。もう一日ほしかった。スイス館の展示はおもしろかったな。住宅を構成する様々なエレメントが、スケールを…

NOV.4,2018_パラーディオと額縁性

イタリアで撮った写真⑫ パラーディオの「ヴィラ・ロトンダ」はいわずとしれた超名作なのでぼくが特段何か書く必要も感じないのだけど、実際に訪れてみて個人的にはじめてわかったことが一点あって、それは内部の壁画と建築の構成の関係が思った以上に密接で…

NOV.2,2018_ジュニアーニ・フリジェーリオ集合住宅

イタリアで撮った写真⑪ テラーニの写真は今日で最後。(イタリア編の終わりがようやく見えてきたぞ、、たぶん後4回くらいでおわるぞ、、) 「ジュニアーニ・フリジェーリオ集合住宅」(1939-40)はテラーニ最晩年の仕事だ。最晩年と言っても彼が36歳くらいの…

OCT.30, 2018_サンテリア幼稚園

イタリアで撮った写真⑩ 「カサ・デル・ファッショ」から「サンテリア幼稚園」へ。今回の旅行で最も感動した建物だった。というか、ぼくの生涯でいまのところナンバー1だ。あきらかに。散々図面や写真で見てきたが、その想像を遥かに超えてきた。実はそういう…

OCT.24, 2018_カサ・デル・ファッショほか

イタリアで撮った写真⑨ 引き続きコモ。《ノヴォコムン》の周辺をうろちょろする。すぐ近くにテラーニ最後の実施作品である《ジュリアーニ・フリジェーリオ集合住宅》(1939-40) があるのだけど、それはまた個別の記事で。まずはコモ湖周辺ででみたものをざっ…

OCT.19, 2018_ノヴォコムン集合住宅

イタリアで撮った写真⑧ この日はミラノ北部のコモを訪れた。帰りの飛行機に乗る2日前、8月7日だったかな。コモは例えるならば箱根のような地方都市で、スイスとイタリアの国境に位置するコモ湖の湖畔にある比較的小さな街だ。建築関係者にとっては、ジュゼッ…

OCT.17, 2018_プラダ財団

イタリアで撮った写真⑦ ようやくやっかいなロッシ編がおわった。次に見たのは、学会発表のあいまに見にいったOMA設計の《プラダ財団美術館》(2015 / 2018)。前々からすごく行きたかった美術館なのでとても嬉しかった。OMAを主宰するレム・コールハースは前…

OCT.14, 2018_プロジェクト・アウトノミア

新しい政治的主体性を構築する試みは、とりわけ戦後の社会がポスト工業社会へと転換するなかで、世界同時多発的に起こったことであった。 たとえばイタリアにおいて、1960年代を通して専門領域の垣根を超えて議論され理論化された「自律性」のプロジェクトは…

OCT.5, 2018_ガララテーゼの集合住宅

イタリアで撮った写真⑥ 前回書いた《サンドロ・ペルティーニ記念碑》からすぐそこにあるレストランでミラノ・カツレツを食べたあと(骨付きの肉厚で超おいしかった)、《ガララテーゼの集合住宅》(1969-73)へとむかった。《ガララテーゼの集合住宅》は建築…

OCT.2,2018_サンドロ・ペルティーニ記念碑

イタリアで撮った写真⑤ セグラーテから、ミラノの中心部へと戻る。次もロッシの噴水で、《セグラーテ》から約20年後のモニュメント。黒い銅板被膜で覆われているけれど、三角噴水という形態言語は共通している。また、《セグラーテ》と同様にこのモニュメン…

SEPT.30,2018_セグラーテの噴水

イタリアで撮った写真④ フィレンツェの翌日。この日は午後から学会のオープニングパーティーがあったのだけど、それまでの時間でミラノ市内のアルド・ロッシの建築物を見学した。研究室の助教で、アルド・ロッシの専門家である片桐先生がツアーを組んでくだ…