OCT.2,2018_サンドロ・ペルティーニ記念碑

イタリアで撮った写真⑤

セグラーテから、ミラノの中心部へと戻る。次もロッシの噴水で、《セグラーテ》から約20年後のモニュメント。黒い銅板被膜で覆われているけれど、三角噴水という形態言語は共通している。また、《セグラーテ》と同様にこのモニュメントも「腰掛ける」ことができる。

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大聖堂(ドゥオモ)とは「座所のある建物」(fabrica del dôm)を意味するわけであり、従ってその建築は「カ・グランデ」と同じく、先ずもって万人のために建てられた家である。だからこそ、それが完成することはありえない。(……)未完もしくは放棄という観念はあらゆるところで私につきまとった。けだし、この観念は近代芸術と浸み渡った考え方とは根本的に異なるのだ。私にとって放棄された対象は運命という要素を含み込み、大なり小なり歴史的であるとともに、一種の均衡をなりたたせている。大聖堂を「座所のある建物」と定義したところにそれを認めることができたわけだ。*1 

やはりこの記念碑もまた「座所のある建物」であり、と同時にその外装材にミラノ大聖堂とおなじピンク色の大理石を用いているから、ミニ・ドゥオーモ感がよりいっそう強められている。 縮小された、ミニチュアのミラノ大聖堂。

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△ロッシの《サンドロ・ペルティーニ記念碑》の外壁

 

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△ミラノ大聖堂の外壁

また、構成としてはロッシの有名なアンビルドの作品である「Competition for the Monument to the Resistance in Cuneo」と似ているなぁと思った、大階段と水平の窓。この模型はあまりにもかっこいいのではじめてみたときは衝撃をうけた(『a+u』誌のこの模型写真は赤い背景をバックに撮影されているから余計にかっこよかった)。

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この数日後、コモにいってテラー二の作品も大量にみるのだけど、テラー二もほとんどの作品の外装材が大理石だ。生でみて、この少し透けるかんじだとか、大理石という素材の独特さを痛感した。光がより生々しく、物質感をもつような感じ。

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光が滝のように落ちる。

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Aldo Rossi: Monument to Sandro Pertini, 1988, Milan, Italy
(Canon AE-1 Program, FD F1.4 50mm, Kodak Portra 160)

*1:Aldo Rossi: A Scientific Autobiography, MIT Press, Cambridge, Mass. & London, 1981 / アルド・ロッシ自伝, 三宅理一訳, 鹿島出版会, 1993, pp.135-139.  なおページ数は邦訳版のものを示す。