10.JAN,2024_2023年の仕事

その年にやった仕事を振り返る、ということをインスタでやってたのだが(佐藤熊弥くんをまねた)、去年末くらいから旧Twitterもインスタもぜんぜん可動していないので、2023年を締めそびれている*1

最初は今年もインスタで投稿しようかと思ったのだけど、去年のめぼしい仕事の成果がちょうど10件(インスタの写真枚数上限)にならないというしょうもない理由で投稿していなかった。あと、SNS全般への疲れもあって。どうにも日常の、育児や仕事の大変さとのんびりした日常が同時に走っている感じが、SNSを通すと漂白されてしまう感じがしてしまう(インスタのストーリーに関してはインスタントに使えるので、あれはあれで良いと思うのだけれど)。やはりブログを適当に更新するのが自分の性には合っているように感じる。

 

1. Fixing Garden/記録の庭

藤倉と取り組んでいるプロジェクト。文化庁メディア芸術クリエイター育成事業に採択され、まだ途中段階ではあるのだけど、成果発表を2023年2月におこなった。ちなみに秋ごろ京都で藤倉が参加した展示にこの作品に関連する平面作品を出展したのだけどこちら、この平面には買い手がついた。自分が関わった平面作品が売れるという稀有な経験をしました。こちらのプロジェクトは継続中(というか育児で一時停止中)で、今年中に書籍をまとめてその成果展をどこかでやろうと行っている。まだ計画段階だけれど。


2. 産まみ(む)めも

公共とデザインさんに誘っていただき、会場構成と出展の両方を担当させてもらった(珍しい関わり方だ)。「産む」にまつわる様々な状況にいる当事者の方々とのワークショップは非常に勉強になり、現在取り組んでいる研究内容にもフィードバックされている。いま僕の研究室では、二人世帯向けに計画された住宅の平面構成に関して研究している(「二人」というのは概ね夫婦二人なのだけれど、二人世帯に注目したのはとりわけ将来に対する不確定な要件が多い家族形態だとこの展示を通して感じたからだ)


3. REGARDING THE ECHO OF OTHERS

高野ユリカさんの個展の会場構成。ホームページのテキスト欄はずっと「…in writing…」になっちゃってるが、これは時間がなくていまだ英訳をしていないため(早くやんないと1年経ってしまうので急ぐぜ)。高野さんの写真に通底しているのは「見る」ことへの慎重さと倫理観だと常々思っていた。できうる限り冷静で、客観的(であろうとする)視点のなかに、ほんのすこしだけ織り込まれる主観性。写真に宿命的に残存してしまう「私」をどうレイアウトするか、という実践。それに応えるため、会場ではできうる限り要素を減らしつつ、1400mmという少し低い高さ(これは高野さんが三脚を立てたときのカメラの高さでもあり、展示壁のちょうどセンターでもある)に什器群を揃え、音と写真(の観賞点)をずらしながら配置することとした。

 

4. 茨城大学着任

4月に茨城大学の助教に着任した。着任してからしばらくは初めてのアカデミアの世界でわからないことが多すぎでずっとバタバタしていた。助教なんだけれど最初から研究室が与えられるので、基本自己責任で調べまくってなんとかするしかなく、たいへんだった。大学業務にはようやく最近慣れてきた感じ。

 

5. 青森遠征

妻の藤倉が国際芸術センター青森でレジデンスをするということで、この夏は僕と娘も同行して青森に滞在した。詳しくはこちら。このとき執筆したテキストは以下で公開しています。

www.tkhrohmr.com

 

6. Trans-prompt

「アート / 空家 二人」(NITO)開催の展示『新しい嘘』に、藤倉と一緒に参加。《Trans-prompt》という映像作品を出展しました。AIによるビジュアライゼーションを実験的に取り入れてみたもの。

 

7. 日本図学会大会発表

地元富山・宇奈月開催ということで参加。「建築空間のグリッド性に潜在する政治経済学的側面に関する一考察」と題して発表しました。悲しいことにとくに反響とか新たな学びとかは特になかったが、自分のやってること考えていることを定期的に外部向けに発表するのは大事、と思いやりました。ちなみにこの論文書いてるときにグリッド細胞・場所細胞に関しては本腰入れて勉強してみようと思った。

 

8. 研究室改修

仕事というほどのものではないけれど、なんとか年内に間に合わせようとがんばったことのひとつ。居心地よくなった。

 

9. 執筆仕事

2023年の執筆仕事は以下の通り。圧倒的にたいへんだったのは最後の、『思想』に寄稿した磯崎論。しかし本当に機会をいただけてよかった仕事でもある。今年は数こそ多くないが、内容的には満足している。

[連載] 「手入れ / Repair ダンボール村」、『建築ジャーナル 2023年2月号』、建築ジャーナル社、36-37頁(共同執筆:井上岳・齋藤直紀)

[連載] 「手入れ / Repair トー横キッズ」、『建築ジャーナル 2023年6月号』、建築ジャーナル社、46-47頁(共同執筆:井上岳・齋藤直紀)

[批評] 「先行するP」(水戸市民会館開館記念事業「アートセンターをひらく 2023 ─地域をあそぶ」展レビュー)、『新建築 2023年9月号』、新建築社、17頁

[批評] 「必然と偶然の分岐点で」(西澤徹夫個展「偶然は用意のあるところに」展レビュー)、TOTOギャラリー・間ウェブサイト(https://jp.toto.com/gallerma/ex230914/exhbt_rpt.htm

[学術雑誌]「重力と歴史──新宿ホワイトハウスの歪んだ立方体」、『思想 2024年1月号』、2023年12月26日、pp.96-114

 

10. 子育てと家の整備

最後に、どう考えても一番たいへんだったのは子育て。基本的に子供が起きているときはつきっきりなので家にいるあいだはひとりになる時間がない。僕も妻も仕事をやりながらだから、そこがたいへん。自分の仕事をやろうと思うと、どうしても子の就寝後の21時以降ということになるのだが、寝かしつけ後は精魂尽き果てているので本当につらい。というか無理(かなり気合い入れないと無理)。僕は大学に定期的に行かせてもらうが、妻は制作時間が本当に取れなかった。ボロボロになりながらもなんとか乗り切った。子育て経験者ならば、保育所に入れていない状況で妻と自分が2023年にこなした仕事量・質を見ていただければ、「がんばったな……」と思っていただけれるのではないかと思う。正直忙し過ぎて意味不明な状況で日々が過ぎていった一年だった。もちろん子育てはたいへんなぶん、見返りはとてつもなく大きい。子はかわいい。正義。

家の整備では、ミニテーブル付きの本棚をつくったり、下にゴミ箱を収納できるレンジ台をつくったり、ベッドルームの窓台をつくったり、といったDIYが中心だった。今年は家具関係だとソファをつくろうかなと思う。あとせっかく庭があるので、庭の整備をもっともっと推進していきたい。まずは目隠しの簡易フェンスをつくる予定。

*1:ちなみに2021年は以下の投稿。

https://www.instagram.com/p/CYKvboJPLRN/?img_index=1

2022年はこちら。  

https://www.instagram.com/p/CmxfToNhvpH/?img_index=1