SEPT.6,2023

ずっとほったらかしているこのブログですが、ぼちぼち再開できるかもしれない、と思っている。最後にまともに書いたのが2022年の1月で、それ以来だから、おおよそ1年半前か。いや、2021年の9月くらいからもうほとんどまともに更新できていなかったから、2年ぶりということかな。これはちょうど博論の提出・発表が終わってGROUPの活動が忙しくなってきた時期と重なっている。コレクティブの活動と仕事の並行で、日記を書く時間がほとんどとれず、ほったらかしになってしまったのでした。

更新が止まったここ2年くらいのあいだに、ほんとうに色々なことがあった。このブログを見ている人がまだどれくらいいるのか全然わからないけれど(うれしいことに、なぜか熱心に読んでくれている研究室の後輩がいたりするんだけど)、以前とは状況が変わりました。ひとまずそのあたりの報告をしなくては。

まず、アーティストの藤倉麻子さんと結婚しました(!)。次に、昨年11月に子供が生まれました(!!)。そして、4月から大学に就職しました(前にふたつに比べれば弱い……!)。その他、窓研究所の仕事と並行して、テキスト仕事や改修設計、妻と協働した展示の実施手前の崖のバンプール、表象文化論学会への参加などいろいろあった(個々のプロジェクトに関してはおいおい)。妻と0歳児との生活は、ひとことで言えばとても充実していて、育児はたいへんだけれど、かけがえのない日々を過ごしている。今日の朝、妻と、もしも自分らが年老いてから1日だけ過去に戻れるとしたら、今を選ぶんじゃない? と話した。そうだと思う。このブログでもこの日々で感じたことを記録しておきたい。

 

茨城大学での所属は理工学研究科(工学野)の都市システム工学領域で、役職は助教。テニュアトラックということもあって、幸運なことに研究室を主催することができている。研究を継続できる環境に身を置くことができて、とてもありがたい。茨城大学は水戸キャンパスがメインなのだけど、工学部は日立キャンパスなので、4月から日立市に住んでいる。流山から柏へ、海老名へ、そして日立へ……と、何か見えない力に導かれて郊外を転々としている感じ。日立は海が近く、野菜もおいしいから、思ったよりも全然住みやすい。高台に建つ一軒家を借りていて、家の窓から海がみえる。

大村研にはひとまず4年生の学生が2名配属されていて、卒業論文と卒業設計に取り組んでいます。とても優秀なふたりで、先日学内の卒業設計講評会があったのだけど(茨城大学は前期卒制、後期卒論)、大村研の加藤くんが最優秀でした(嬉しい!)。もうひとりのメンバー角(すみ)くんの案もとてもおもしろかったのだけど、つたわりずらい面があったかもしれない(ただし都市的なオブジェクトとアフォーダンスを組み合わせて建築プロジェクトに実装するという案の可能性は突出していたかと思う)。9月8日から、7月にオープンした水戸市民会館(伊東豊雄設計)にて茨城大学の卒業設計展があるので、タイミングが合えばぜひ見に来てみてください。

www.civil.ibaraki.ac.jp

 

それと、2021年に共同設立した建築コレクティブのGROUPだけれど、僕は今年の7月で離脱している。結婚、子育て、大学への就職、といった諸々の変化のなかで、これまで通りコレクティブの一員として活動することが難しいと自分のなかで判断したからだ。自分が関わっていない、判断していないプロジェクトが自分が代表しているコレクティブ名義で発表されることに耐えられなかったため、でもある。おそらくGROUPはこれからも活動を継続していくと思うけれど、もう自分は関わってないし、関わるつもりもない。

短い間だけどコレクティブというものをやってみて、その可能性と問題の両方について考えさせられた。コレクティブ活動をおこなう可能性は端的に、「協働」の基盤となる人間関係のネットワークの構築・広がりだろうと思う。これは出不精な自分にとってひとつのメリットだった。問題は、そのダイナミズムは、ほおっておけば必ず固着化してしまうということ。異なる専門性をもった人々の協働が、東京のなかで仕事を回し合う「お友達仕事」に帰着することに、自分は強く批判的だし、そういう場からは積極的に離れようと思っている(こうした問題を最初から熟慮した上でのコレクティブの枠組みの設計をおこなう必要がある、と強く考えている)。その他、協働の際に不可避となる人選(=キュレーション)に潜む政治性や権力性についても、自分は一旦じっくりと考えをまとめたいと思っている(この問題について明確に認識することができたという点が、コレクティブをやってみた最大の成果といえるかもしれない)。2010年以降のアート・コレクティブの隆盛と同様に、建築の設計分野でも、今後はコレクティブという形態が増えていくと思う。だからこそ、しっかりと考えたい。これについては長くなるのでまた後日。

ということで、これからは個人での活動がメインになります。ホームページもつくったので、こちらをたまに眺めていただけたら。個人で思考と実践を深めていく時期に、もう一度入っていきたい。だからこそ、ブログが再開できるかも、ということでした。

www.tkhrohmr.com

 

それと、妻の藤倉との協働も必然的に増えていくと思う。子育てに全力で取り組みながら、僕も妻も互いに互いの道をあきらめないために、だ。現在、国際芸術センター青森(ACAC)で開催中の展覧会「エナジー・イン・ルーラル」に藤倉が参加しているのだけど、僕は妻のリサーチパートナーとして参加させていただいた。青森にお越しの際はぜひ!(〜9月24日)

acac-aomori.jp

 

近々では、蒲田のアートスペース「二人(ニト)」で9月15日から開催される企画展「新しい嘘」に藤倉麻子+大村高広として参加する。AIをテーマにした展覧会なのだけど、かなり面白い作品ができたのでは、と思っている。ぜひ見にきてください。

nito20.com