DEC.11,2023

昨日のブログでそうだと思ったのだけど、この夏に妻が参加していた国際芸術センター青森(ACAC)のグループ展「エナジー・イン・ルーラル」でも、映像のBGMを担当したのだった。インスタ(ココとかココとか)でちょっとだけ聞けるという噂……。

acac-aomori.jp

ACACはレジデンス施設なのでとうぜん作家は展示前に滞在制作するのだけど、我が家は赤子がいるということで必然的に家族レジデンスになり、今年の夏(お盆周辺)は青森に長期間滞在することになったのだった。更新再開時のブログでもちらっと触れたように、僕はリサーチ・パートナーというかたちで参加した。滞在中は、下北半島で過去何度も持ち上がりその度に頓挫している大地の開削プロジェクト(鷹架沼を延長し太平洋と陸奥湾をつなぐ運河をつくる……という)を対象に、削り取られたかもしれない計画地の現在の風景やエネルギー関連施設等のリサーチをした。僕も同行したのだけど非常に勉強になった。

猛暑でトラブル続きのなか、妻がなんとかかんとか命からがら仕上げたのが「インパクト・トラッカー」と題された作品。前述したように僕は映像のBGMをつくり、加えてリサーチを元に2万字ほどのテキストを書き、置かせてもらった。ロジスティクスや採取主義(extractivism)といった最近もっとも関心がある分野を中心に、いずれ書こうと思っている郊外論(近現代都市論)の予告編のようなものを書けたと思っている。

ちなみに、ACACの宿泊棟にはエアコンがなく、開口部も排煙窓しかないという(子連れとしては)絶望的な状況だった。もちろん、安藤建築だけあって空間の強度は高いのだが、今年の猛暑にはまったく対応できていなかった。日中にコンクリートが溜め込んだ熱は夜間に輻射熱として吐き出され、室内はサウナのような状態になる。この約20年のあいだの地球環境の急速な変化をまざまざと肌感覚で感じたのだが、それ以上に、建築家の空間構成や意匠への執着がマジで人を殺しかねないというやばさを感じ、建築家という職能についての反省的な思考が強く迫られた滞在になったのだった。