21 DEC. 2021 書き仕事

一昨年と去年の書き仕事がリリースされたのでご報告を。

ひとつは東京都美術館で昨夏開催された展覧会「都市のみる夢」展カタログに寄稿した「群島──抵抗する準拠点」というタイトルのテキスト。6000字ほどの展評で、本展で提示されていた(と僕は考えた)都市空間においてはプライベートとパブリックを反転した見立てが可能であるということについて、主に書いた。加えて、政治的であること=複数であることが、作品という単独性のなかにどういった仕方で埋蔵されているか、ということについても触れている。限定部数の書籍なので入手が難しいかと思うので、もし文章を読みたいという方がいたら声をかけてください。

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もひとつ、『SD2021』に齋藤直紀と共同で執筆した「瓦礫から鉢植えへ」という文章を寄稿した。

SD2021 | SDレビュー事務局 |本 | 通販 | Amazon

2年前の2019年に書いたこのテキストは井上岳+棗田久美子+赤塚健による〈打出浜のシェアスペース〉の完成作品レビューで、見学の際に撮影した写真も使ってもらっている。まだ入居者が入っていない空っぽの状態の写真は、今となっては貴重なものかもしれない。これはとなりで展示してたよしみで書かせてもらったのだけど、色々あってこの5人は2021年からチームを組むことになった、ということで少しややこしい。SDレビューが去年開催されなかったことで2021年号の掲載となっちゃったので、このややこしさが生じてしまった(執筆当時はまだ共同してなかった)。コルビュジエのドミノ・システムやビーチャー姉妹、アルバート・カーンらを参照しながら、住み手の事後的な改変を提案に含み込んだ建築がもっている可能性について批判的に検証している。

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去年どころか2年前に書いた文章ともなると、もはや他人が書いたものという感覚があって、少し気恥ずかしい。今だったらぜんぜん違う書き方をするだろうな、と。当時は気がつかなかった発見もあったりして、おもしろくもあるのだけど。あともうひとつ、住宅の批評で個人的に大切にしている文章がまだ世に出ていないのだけど、こちらも日の目を浴びる日を楽しみにしている。文章って意外と執筆当時と発表時でタイムラグがあって、単語の選び方や文体の現在とのギャップに驚いたりする。そのギャップが(おそらく自分自身にしかわからない)何かを記録しているようにも思う。