22 DEC. 2021

昨日の夜はひさしぶりにドライブ感のある打ち合わせがあった。おもしろい発言やアイデアに対して、思わぬ角度から建設的な意見が食い込む、ということが連鎖していくというやつだった。こういう打ち合わせは楽しいし、毎回こうだといいなと思うのだけれど、そうもいかない。昨夜のは、まだざっくりとしか書けないのだけど、来年やるポップアップショップの什器の仕事の打ち合わせだった。企画も開催場所も関わる人々もみんなおもしろいので、きっと良いプロジェクトになると思う。「移動」や「梱包」みたいなことをひとつのテーマにして、什器をつくれないかと画策している。梱包箱と什器が一緒になった会場構成の道具みたいなもの。

今更なのだけど、「建築と日常」の長島さんが僕の博論公聴会の感想をブログに書いてくださっていたことに気づいた。ありがたすぎる……。

richeamateur.hatenablog.jp

もろもろの分析や考察によって導き出された結論は、はたして大村さんにとって驚きや歓びがあるものだったのか、それともこの研究を始めようとした動機のところですでにある程度の見通しがあり、その直感を公にする意義を感じてこの論文が書かれたのか、どちらかと言うとどちらなのだろうかということ。そこがこの論文を捉えるとっかかりになるような気がする。

返答、というわけではないのだけれど、僕の研究活動は思いっきり後者で、博士論文をかたちにし始めるまではまったく見通しのたっていない状態だった。もちろん正方形平面*1や円形平面*2を扱った論文はそれぞれ個別の論文としてまとめていて、ある程度の結論はつけてあるのだけど、それらをどう接続しひとつの論旨を組み立てていくのかというところで、新たな発見やこれからの研究の道筋みたいなものが次々と見つかることになった。それは博士論文というひとつのまとまった書籍(のようなもの)をつくる負荷があったからこそだし、その過程を主査の岩岡先生や副査の先生方と共有し、様々な(厳しい)意見をいただいた結果だともいえる。これからの研究課題はたくさんみつかるけれど、それらはまだ未知の領域なので博論には組み込めない、というところがずっとむず痒く、そして自分自身の未熟さを感じるところだった。

尺度=スケールが幾何学(これはざっくりとかたちの問題ともいえるし、空間構成の問題とも、形式の問題とも、設計プロセスの問題ともいえるのだけれど)とどう関係しているのか、という問題は、これからの自分の、建築を設計したり思考していく上での主軸になっていくのだと思う。実務にも直接的に接続しうる問題を博士論文のテーマに選ぼうということは、かなり意図したつもりだ。博論の過程で見つけた新たな疑問や謎、こうかもしれないという直感は、論文だけではなく、実際の設計活動や建物の批評などを通して、様々な仕方で発露していければいいなと思っている。

引っ越すとしたらどういうアパートがいいか、なんとなく考えている。暗く艶のあるフローリング。白い壁。多少寒くてもいいから窓が多いといい。日の入るお風呂。いろいろな場所にいろいろな色のタイルがある。装飾的でなく、質素な内装。天井高は低くてもいい。深い茶色に経年変化した木の巾木や廻り縁、手すりやドアノブなどが真鍮の金物と一緒に使われているといい。そんな感じで。

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