SEPT.25,2021

 今週の月曜日に、下北沢のB&Bさんで岡崎さんとのトークイベントがあった。先週の木曜はミサワAプロジェクトのレクチャーがあって、これでトーク系のイベントはひと段落。聞いてくださった皆様、本当にありがとうございました。こういう地道なトークイベントを続けていって、いつかお仕事を頼んでくださる方と出会えたら最高だな、と思う(来年以降の新しい仕事がなくて、本当に大変な状況なので、、)

 山田紗子さん、市川紘司さん、澤田航さんとともに登壇させていただいたミサワのイベントは、「庭と建築」(+裏テーマとして「参照」について)というお題があったので、まさに庭をタイトルに組み込んでいる「新宿ホワイトハウスの庭」を中心にお話した。この仕事で何をやったのか、ある程度簡潔にまとめることができて良い機会だったと思う。私たちからは、「継続的な手入れによって仮止めされた風景こそが庭」という考え方が建築にも接続しうる、ということを話してみた。植物をはじめとした諸事物が能動性を発揮し、勝手に遷移していく。そうした状況に抵抗するように、人間が手入れによって「時間の巻き戻し」のような作業をおこなう(それは枝の剪定かもしれないし、部屋の掃除かもしれない)。その緊張関係によって生じる人工とも自然ともいえないような状況に、私たちは「庭」という呼び名を与えようとしている、と。これに関連して、終盤、手入れを設計に組み込んでいく際には時間的な参照点が必要だ、という話になった。「竣工」というものや、建築家の記名性みたいなものは、手入れをうまく稼働させていく際の「戻しどころ」として機能するものだ。植物を、人間を、事物を巻き込みながら常に変化していく環境をつくろうとしたとき、翻って竣工という仮止めの完成形が、写真に記録される「この地点」が、手入れの際に参照すべき状態として重要な意味をもつ。ディスカッションの最後で市川さんが、こうした話題の流れで、山田さんの「daita2019」で竣工年がタイトルに入っている重要性を指摘されたことで議論がうまく落ちて、めちゃ感動した。庭、建築、参照というテーマがその一点にすべてつながったような気がしたのだった。さすが市川さん!と思った。

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対してB&Bの方は「ノーツ」のことを中心に事務所のプロジェクトを紹介するというものだった。おもしろいことに、インディペンデントマガジンであるノーツの制作を通した方が、自分たちのやっていること(建築のプロジェクトであれ展示物の制作であれ)を説明しやすいな、と感じたのだった。ノーツをなぜ自分たちで企画し、なれない自主製本で作っているのか、ということが、他の諸々の仕事にも通じている、ような気がする。

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 このトークは公開打ち合わせのような雰囲気を意識して臨んだ。岡崎さんとのお話のなかで、次号に向けて、いくつか重要なルールを決めることができたと思う。たとえば、本の高さは変えない。幅はもしかしたら変更するかも。フォントやタイトルのグラフィックは第一号を継承。左:インタビュー/右:注、というルールは大まかには継承するが、はっきりと左右で分けるのではなく、注の文量に合わせて調整するように変更。合わせて、裏表のある紙は無理に使う必要はないのかもしれない。写真はやっぱりカラーがいいので、リソにこだわらず、グラフィックを差し込んでいくことも考える。折作業がとても大変だったので、次回の製本は中綴じではなく、リング製本などにする、など。

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◯本日のタブ

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本といえば、この本すごーくほしかったやつだ。我らが(?)OK-RMがデザインを担当していて、編集は「Moder-n」の高宮啓さん。思い出してよかた!