AUG.8,2021

 7月19日に行われた博士論文の公聴会は無事に終わって、気がついたら3週間近くも過ぎてしまった。博論が一段落してから「ぜったいに文字を書きたくない!」という強い信念のようなものが芽生え、すっかりブログからは遠ざかってしまっていたけれど、そろそろ定期的な更新を再開しなくては、と思っている。「公聴会が終わったらやります!」と未来の自分に託していた仕事が溜まっていたこともある。許さんからな……と過去の自分を恨みながら、それらもなんとか一通り片付けて、今にいたる。ぼやっとしていてもしょうがないので、ぼちぼち日記を再開したいと思う。

 公聴会は充実した時間だった。平日の午前中にも関わらず50名ほどの方々に見ていただき、感謝しかないのだけど、参加者の記録をとっていなかったのが痛恨の極み。いまだにどなたに見ていただいたのか全貌を把握できておらず、お礼しきれていないのが心残りで。この場を借りて、皆さんありがとうございました! 公聴会での指摘を本論にフィードバックして、ひとまず執筆作業は数日前に完了した。あとは大学に提出して、製本して、と。副査の先生方等への献本を考えると15冊くらいは製本する必要があるような気がしていて(博論だとこれくらいが普通なのかしら?)、どうしたもんかなと思っている。PDFのデータに関しては、読みたいと言っていただいた方にはバンバン配布しているので、興味があれば気軽に連絡ください。TwitterのDMからでも、メールアドレス(ohmr.tkhr [at] gmail.com)からでも。

 終わったものの手応えみたいなものはなく、構成とスケールの関係という、これから研究していかなればいけないテーマの有効性を確認することはできた、というくらいしか達成できたことはないのですが……という気持ち。でもなんというか、自分の能力の限界を確かめることができたという意味では博論は書いてよかったなと思う。しかし空っぽだ。もう何も出すものがない。研究に関係のない専門書とかたくさん読みたい。

 公聴会から今日にいたるまで、以下のようなできごとが起こった。

・公聴会が終わった当日、何が何でもエンタメ映画が見たくなって、「ゴジラvsコング」を4DXで見た。映画自体は思ったより全然おもしろく、人間ではなく怪獣中心のドラマに振り切っているところに好感をもった。激エンタメであった。ただ、スクリーンのなかで登場人物が濁流に飲み込まれているときに水蒸気をプシュッとふりかけてきたり、目の前で大迫力の怪獣大合戦が繰り広げられている最中に腰のあたりにシュッと風を送り込んでくるのは、逆に臨場感を削ぐのでやめてほしいと思った。4DXは座席が動くだけでおk。

・公聴会が終わった数日後、何が何でもエンタメ映画が見たくなって、「竜とそばかすの姫」を見にいった。ところどころ素晴らしいシーンはあったが、脚本が破綻しまくっていることが気になりすぎて没入できなかった。中村佳穂が歌声も声の演技もすばらしかっただけに、とても残念に思った。とくに、川沿いを歌詞を口ずさみながら歩いていると徐々に歌になっていく、というようなシーンが本当にすばらしかった。言葉と歌のシームレス感。しかし脚本は如何ともしがたい。とくに細田映画特有の、物語の終盤に子供が無闇に(脚本の都合上で)傷ついていく演出が、個人的にやはり無理だなと感じた。

・オリンピック開会式の日。岡崎さんを海老名の家に案内してから、隈事務所にいる後輩に近美の展示を案内してもらい、国立競技場周りを散歩した。長岡アオーレの映像よかった。

・新しいプロジェクトのプレゼン。ギリギリまで模型を作っていて遅刻確定だったが、奇跡的にタクシーが拾えてなんとか間に合う。三岸アトリエという、国の登録有形文化財になっている住宅(1934年建設)を部分的に補修するという計画。無事に進みそうでよかった。今年中には工事も完了する予定。

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▲ gr012 Window for Migishi Atelier

・25日(日)。湯浅良介さんの住宅のオープンハウスに誘っていただいて大磯の近くまで行く。途中茅ヶ崎駅で乗り換えをしたが、鳴っている音がことごとくサザンだった。ここで育つ子供にはサザンはどう聞こえるのだろうと思った。湯浅さんの住宅はすごく完成度が高く刺激を受けた。道中の徒歩がザ・夏休みという情景で、疲れたけど楽しかった。暑かった。

・26日(月)。海老名の家でイベントが開催される。畳み掛けるように様々なことがおこっている。お客さんがたくさんきて、とてもたのしかった。

・この週はほかにも色々とあった。4月から都市大の講師に着任された片桐(悠自)さんの研究室を訪問したり、東大の印牧さんに会ったりもした。Talion GalleryやTOHの展示がすごくよかったし、そこで新たな出会いもあった。餃子も食べた。

・建築家の寺田さんや中村さんに声をかけてもらった海外の若手建築家に関する勉強会に関する記事にコメントを寄せた。ぜひ読んでみてください。

note.com

・ 声をかけてもらった案件でいうと、東北大の市川紘司さんに声をかけていただき、今年から日本建築学会の建築討論委員会の委員を務めることになった(2021-2023年)。僕が担当する特集は来年のはじめころに建築討論のWebサイトに載ると思う。やってみたい特集がひとつあるので、企画書を煮詰めていきたい。

・8月2日(月)。『ノーツ』の第二弾のインタビュー1本目。神泉の事務所に行ったついでに、「新宿ホワイトハウスの庭」を掲載していただいた住宅特集2021年8月号を回収する。まさかの巻頭で取り上げていただき、日埜直彦さんの論考まで掲載していただけるという豪華さで、身が引き締まる。たぶん総工費、住宅特集誌上最も少ないくらいだと思うのだけど、大丈夫でしょうか……。ちなみに金曜日には、ゲンロンが運営する放送プラットフォーム「シラス」にて建築史家の五十嵐太郎さんと市川紘司さんが担当されている番組「建築系勝手メディアver.3.0」に日埜さんが出演していらしたのだけど、ものすごく面白い内容だった。というか「建築系勝手メディアver.3.0」がそもそもすごくて、毎週長時間かつ高密度の内容の配信をしていて(毎回4-5時間近い)、五十嵐さんと市川さんの体力と企画力にちょっと引いている。おもしろくて、定期購読して過去の番組もあらかた見てしまった。

・この週は割合、博論の最終調整に時間をとられてしまった。直しても直してもなくならい誤字脱字。あと、水曜日にワクチンの2回目を打ったのだけど、木曜日は副反応で一日ダウンしていた。3回目は絶対に打ちたくない、というほどだるかった。

・昨日、ブログのプロフィール欄を半年以上ぶりに更新した。そんなこんなで、今日に。