DEC.5,2023

あたりまえのことなのだが、「測るもの」と「測られるもの」はできるだけ似ていないほうがいい。自然を測るときには、できるだけ自然に似ていいないものを使うのがいい。測定器の非自然性=人工性こそが明確な測定を可能にする。自然界にあまりないもの。たとえば「線」。「ふるい」も同じような役割をもっているかもしれない。あるいはこれは、たとえば、ラーメンを食べるための箸やフォークが麺やメンマにできるだけ似てないほうがいいこととも似ている。線で石を測ることと石で石を測ることのあいだには根本的な相違がある(無論、後者にも特別な意味・効果がある)。

他方で、自然ではないが、同時に自然に似ていなくもないものがあるとすれば、われわれはそれを「模型」とみなすだろう。ジックラッドも、日本庭園も、自然(あるいは概念)を測り、それを相対化するための一種の認知フレームすなわち模型だ。だからこそ、自然を模しながらも、そこになんらかの人工性(直線だったり石の配置だったり)が織り込まれる。そして、その織り込みの技術(を可能にしている協働性と文化的なコンベンションのありよう)にこそ模型の固有性が宿る。