FEB.26,2021

 先週の金曜日、久しぶりに千駄木にフィルムの現像にいったとき、店内にたまたま小学校高学年くらいの女の子と低学年くらいの男の子がいた。おそらく兄弟で写ルンですか何かのプリントをしにきていたのだと思う。ぼくが仕上がったものを受け取ったとき、男の子がこちらをじっと見てきて、それはなに? と聞いてきたので、写真をプリントしてもらったんだよ、と答えた。そしたら男の子が、なに撮ったの、と聞いてきたから、袋の一番うえに入っていた写真を一枚取り出して見せた。見せたというか、ぼくもなにが写っているかわかっていなかったので、一緒に見た。

 それは謎の林の写真だったのだけど、男の子はすごく喜んで、めっちゃいい写真じゃん!ぜったい飾ったほうがいいよ!と言った。ありがとうと返した。お店を出て、近くの毛沢東の肖像画で有名なお店で担々麺を食べながら、あんな奇跡のようなことが発生するのだなと思っていた。ほんとうに大きめにプリントして額装してやろうか、とも考えたけれど、ひょっとしたら彼は写真屋の差し金か……?(店長の息子とかで) などと考えてしまう自分のよこしまな心情に気が付き、俺も汚れちまったな……と思った。餃子も食べた。追加で。

 

 今日フィルムをすこしスキャンして、そのことを思い出していた。下がその写真なのだけど、1月7日の日記と同じ場所だと思う。たしかその日に動画も写真も撮ったのだった。少し気恥ずかしいくらいのやたらと大げさな光。でも、日常で不意に訪れる奇跡のような瞬間が、別の奇跡を呼び起こした感じがして、なんだか感動的だった。

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