180307

●36枚撮りのモノクロフィルムを、ぶらぶらと散歩しながら1本撮りきった翌日、まったく同じコースを、今度はポートラを入れて巡ってみた。するとおもしろいことに、まったく違う対象を、まったく違う意識で撮ることになった。モノクロ写真は難しいなといつも思うのだけど、カラーだとあっという間に一本撮りきってしまった。ぼくはカラーフィルムを使うことが多いので、自分がいかに普段、色というものを意識しているのかがよくわかった。

  ぼくは写真を撮るとき、「何を撮るか」ということは基本的には考えていなくて、対象が何であれ、単に色が美しかったりしたときに素朴にシャッターを押していて、対象の面白さというのはあくまで事後的に発見することが多い。「色のきれいさ」だけを意識して写真を撮ることになんの意味があるのかといと、もちろんある種の収集癖みたいな個人的な欲求を満たしてくれるという側面もあるのだけど、それはなんの変哲もない風景や、見向きもされない街中のオブジェクトを撮るきっかけになる行為なんじゃないかと思う。そこにはたとえば、おおげさな言い方をすればだけど、ありふれた対象物にちょっとした存在意義をあたえられる、というような意味があるんじゃないか。すべてのものを等価に扱うような態度で、ぼくだけは君のことを見ているよ、知っているよ、というような眼差しを世界に向けること。どこまでもジェネラルな風景の中に生きているという、そんな絶望ともいえるような不安を払拭して、生き生きとした具体的なモノや風景に囲まれた生を、その都度発見していきたいなといつも思っている。

 ということで、どうにも有名建築とか、観光地とか、崇高な自然とかは撮る気にならないというのが、いまのぼくの気分だったりする。

 

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