OCT.17,2019

関西でとった写真①

 

 関西で撮った写真が現像あがってきたので、徐々にアップしていこうと思う。フィルムのデータ化は自前のスキャナーでやってるんだけど、すべて取り込むのなかなかたいへんだった。色の調整が終わりも正解もないもないから非常に難しい。

 初日の集合場所は芦屋のヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)。設計はフランク・ロイド・ライトで、ぼくははじめての訪問。遠くからの外観写真一枚しか撮ってないのが残念なのだけど(もっていったカメラが中判だけだったので無闇に連射できず)、繊細かつ多様なディテールが連発する内部空間もおもしろかった。当時では当たり前なのかもしれないけれど、「天井」がちゃんとデザインされているということがぼくにとっては新鮮だった。天井は構造的な要請がないので装飾的にならざるをえないわけだけれど、装飾こそ空間に及ぼす影響が大きいのだと改めて思う。自分も勇気をもって装飾に足を踏み込むべきなのだろうか、とか、ライトの幾何学的な装飾パタンをみながら考えていた。急な斜面に平屋のヴォリュームが段々状に張り付くような構成で、容易に建物の全体像を展望できないような複雑さがあった。網戸好きとしては銅製の網戸と金細工の組み合わせがとてもよかったが、写真は撮っていないようだ。結局、ディテールのヴァリアントを前にして「どこか一枚を撮る」ということができず、写真は下の外観写真一枚となってしまった。山のうえから町全体を見守るように建っていてかわいらしい。一歩間違えば権威的な建ち方にもなりそうなのだけど、そうは見えないのが不思議だ。

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 それから、今回のSDレビュー2019に一緒に入選しているBORD(井上岳・棗田久美子・赤塚健による建築ユニット)の《打出浜のシェアスペース》が竣工間際ということで、見学させていただいた。展示をじっくりと読み込んだ建物の実物がみれるということで大変勉強になった。この建物に関しては別の媒体で詳しく論じる予定なので、またそのときに改めて報告します。しかし、「シェアスペース」と銘打たれた建築物をほぼ躯体だけみて論じるということはなかなか難しい。この建物は形式の純化をかなり意図的に避けているからとくにそうなのかもしれない。ただ、たぶんその形式化の度合い(コンセプトの不徹底さ、みたいなもの)にこそ重要な論点があるんじゃないかと思う。

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PENTAX 67, SMC TAKUMAR 6×7 105mm/F2.4, FUJI PRO400H