170915_高松市→丸亀市

●瀬戸内で撮った写真⑧

●4日目(8月29日)。この日から、レンタカーを借りての移動で、朝は、せっかくなのでということで、うどんを食べた。やはり、うどんを食べなければ香川にきている意味がないだろうということで、うどんを食べた。ぼくは釜揚げうどんをの中盛を食べたのだけど、夕方まで一切お腹が減らないという、驚異的な腹持ちの良さだった。

●その後、『イサム・ノグチ庭園美術館』へ。もともと高松にはイサム・ノグチの父方の実家があったみたいで、この土地で別荘と蔵をもち、改修しつつアトリエとして使っていたみたい。年に数ヶ月は、毎年ここで過ごしていたそうな。

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しかし、彫刻は難しいなと改めて思う。直感的に良い悪いは判断できる気はするのだけど、自分が良いと思ったものがなぜ良いのかを、明確に言語化できない。単にぼくが、彫塑を語る言葉を知らなすぎるだけかもしれない。

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(イサム・ノグチ庭園美術館)

 

●次に、芦原義信の『香川県立図書館(現・アイパル香川)』へ。なんてことなさそうな建物だけど、ファサードではバルコニーにみえていた部分に対し、フロアが半階下がっていたりと、なかなか複雑な操作がされていた。渋いけど良い建築。

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(香川県立図書館, 1963, 芦原義信)

 

●次に、大高正人の『坂出人工土地』。人工地盤の上に、団地が乗っかっているというすごい建築で、地上レベルは駐車場と商店街になっていて、人工地盤の上は住民に開放されている。理念的にはとても共感していた建築なのだけど、いまは廃墟化が進んでいて、なんというか、とてもカオスな状態だった。メタボリズム建築って、ぼくは案外好きじゃないのかもしれないと、いってみて思った。支持体となる人工地盤と、メタボライズ(新陳代謝)していく建物ボリュームが構造的に切り離されていたり、段階的に建設されていった過程が見えたりして、その辺は結構面白かったし、住民による自由な改築・増築を実際にみることができたのは、すごくよかったと思う。でも、住み手に自由にカスタマイズされた、一見カオスに見える空間って、自分は結構好きな方だと思っていたのだけど、実際みてみると、ちょっと息苦しいなぁと思ってしまった。人工地盤と地上が、いろいろな意味で切り離されてしまっているというか、人工地盤の上だけ、時が止まってしまっているような、そんな気がした。高度経済成長期のマッチョな建築思想が、いまでも人々の生活を縛り付けている気がして、とても悲しくなってしまった。住人からすれば、全然そんなことないのかもしれないけれど。

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(坂出人工土地, 1968-, 大高正人)

 

●この日はまだまだ続く。続いて、谷口吉生の美術館を2つ。まず、『東山魁夷せとうち美術館』。建築があまりにも洗練されすぎていて、東山魁夷の絵とのギャップを感じる、、。奥に見えているのは瀬戸大橋。

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(東山魁夷せとうち美術館, 2005, 谷口吉生)

 

瀬戸大橋は、下にタンカーを通すためだと思うのだけど、ものすごく高い。この高さはだいたい、進撃の巨人の、超大型巨人がのぞいていた壁と同じくらいの高さではないかと思う。ヤバい。

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●橋を渡って、丸亀市へ突入。同じく谷口による『猪熊弦一郎現代美術館』へ。恐ろしく単純化された動線、大きく、そして抽象化された空間。内部空間は、とてもよくできていたのだけど、正直いって、この日やっていた志賀理江子の展示がすごくよかったので、建築はあまり印象に残っていない。志賀さんの、ポジフィルムのスライドを使った展示は、ちょっとスケールアウトした展示空間の大きさを、十分に使い切っていた。闇の中でかしゃり、かしゃりと切り替わる志賀さんの鮮烈な写真は、一瞬で消えてしまうのだけど、ぼんやりと網膜に焼きついて消えなかった。

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(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館, 1992, 谷口吉生)

(Canon AE-1, New FD Zoom 35-70mm 1:3.5-4.5, FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400)