170704

●研究室の同期で、同じく博士課程にいる堀越一希がHPを開設したみたいなので紹介しよう。ちなみにこれまでこのブログでは、知人を登場させる際はアルファベットで表記していたが、堀越の場合、H越と書くと若干いやらしい感じがするので、本名で書こうかと思う。個人情報なんか気にしない、そんなブログにしていこうと思う。

 

よくできたHPで、とても関心する。ぼくらは半分学生(研究者)、半分建築家、みたいな中途半端な立場にいるのだけど、こうやってHPをつくり実務設計に向けて門戸を広げておくことはとても大事だと思う。HPには、ぼくと堀越が共同で制作した「北沢の家 *1」と「浅草のビル *2」も掲載されているので、ぜひアクセスしてチェックしていただければと思う。

*1「北沢の家 」   f:id:o_tkhr:20170704175654j:plain

 

*2「浅草のビル 」f:id:o_tkhr:20170704175922j:plain

●ぼくたちのような若者が実務の設計活動を始めようと思ったときに直面する問題があって、それは第1作目をどうするのか、という問題だ。ぼくたちはいわゆる「アトリエ系設計事務所」というジャンルに属していて、注文住宅のような「作ってから売る」形式とは異なり、個人から受注されて、施主の様々な要望に答えつつ、議論やスタディを積み重ね、唯一無二の建物を設計していく。ぼくたちの仕事は、直接受託されるか、もしくはプロポーザルやコンペティションで仕事を掴み取るか、しかなくて、このとき必要になるのは当然、自分がこれまでおこなってきた実務設計の実績などによる「営業」をおこなうことである。しかしこのとき問題になるのは、デビューしたての実作のないとき、つまり「営業」ができないときに、どうやって仕事を取ってくるのかということだ。「営業」するためには実績が必要。じゃあその実績の第一作目はどうするのか…。これが若手の建築家や、のみならず若手のデザイナーやクリエイターが直面する矛盾だ。とりわけぼくや堀越のように、博士課程に進学し、そのまま事務所を開設しようとした場合、これは深刻で切実な問題となるのだ。多くの場合、親族や親しい友人などの住宅の設計や、その改修などがこの第一作目となるのだけど、そういった機会に恵まれるのはとても貴重で、現実にはなかなか難しい。というわけで堀越のように、HPを作って自分のこれまでやってきたことを整理し、不特定多数の人々にオープンな状態にして、設計の仕事を受注するにあたってより能動的なアクションを起こすことは、今後ますます重要になってくると思う。

●第一作目の仕事はその後の建築家生命を左右する重要な仕事となるわけだけど、よくいわれるのは、建築家のデビュー作には名作が多いということだ。それも当然で、何しろ時間はいっぱい余っているし、情熱や体力もあるし、そしてなにより「第1作目が今後の自分の建築家としての名刺代わりの作品となる」ということは皆わかっているので、かなり気合を入れて設計をするからだ。数年前、全国の4つの美術館で「戦後日本住宅伝説−挑発する家・内省する家」という展覧会が巡回していて、ぼくはそのなかの「水無瀬の町家」(坂本一成)の模型製作を担当したのだけど、日本を代表する住宅作品のほとんどが自邸もしくは親族の家で、かつその多くが建築家のデビュー作だったことに、けっこう驚いた覚えがある。

●7月に撮った写真②

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(Canon AE-1 Program, FD F1.4 50mm, PROVIA 100F)