170525 5月に撮った写真⑩

このあいだ、上野の喫煙所にて、サラリーマンふたりの会話が興味深かった。

小太りの男性が、出張先で古い旅館に泊まらなければいけないことを相談している。どうやらその男性は、古い旅館、というか座敷が苦手らしい。というのも、幽霊が怖いらしい。

「この歳になって恥ずかしいけど…おれ幽霊怖いんだよね…。本気で苦手なんだよね…。」

その並々ならぬ雰囲気に、もう片方の関西弁の男性、神妙に相づちをうつ。そこから、関西弁の男性、小太りのほうに、幽霊を克服するためのアドバイスをしていく。

「でもさ、よく考えてみいよ。幽霊のおんなってだいたい美人やろ。貞子とかさ。よくみるとさ、おっぱいでかいやん。そして濡れとるやろ。エロいやん。すごいエロいやん。こんなん出会えたらラッキーやんか。」

「まあたしかに。」

たしかに。となりで聞きながら、心のなかで相づちを打つ。

「でも美人じゃない幽霊もいるかもしれないじゃん。」

「でもよく考えてみいよ。ブスの幽霊、怖い?怖くなくない?ブスの幽霊怖くなくない?美人の幽霊ならラッキー、ブスな幽霊は怖くない、幽霊を克服するキモはこれやで。」

「たしかに。」

そうなのか。

「あれは幽霊がこわいんじゃなくてさ、美人が怖いねん。美人は怖いねん、生理的に。幽霊が怖いわけじゃないねん。」

「そうかぁ。おんなって怖いなぁ。」

「でも彼女欲しいなぁ。」

 

 

単純だなお前、と思いつつ、関西さんの終始ロジカルな話し運びに感動していた。だいたいこんな感じだったと思う。幽霊は怖いという話しから、幽霊はエロいとなり、どういうわけか最終的に、美人は怖い、だから彼女ができないんだ、ということになっていた。根本的には全然問題解決になっていないのに、ロジックでなんとなく納得しちゃう感じが、とてもおもしろかった。

たしかに、美人、あるいは美しいものには、どことなく不穏な感じや、不気味な感じがある。デジタルで作った完全にシンメトリーな顔を見たことがあるけど、かなり不気味だったことを覚えている。あの不気味さは、どこからくるのだろう。3DCGで人間をモデリングするときにも、いわゆる「不気味の谷」を回避するために、最近では顔の歪みとか、左右非対称の髪型とか、笑ったときの歪んだ口元とか、左側にだけあるほくろとかまで表現するらしい。

でもやっぱり、たとえブスでも幽霊はこわいとおもうのは僕だけだろうか。というか、ちょうどいいブス(ひどい表現だ)、つまりあたかも身の回りにいそうな雰囲気の幽霊がいたら、一番こわいんじゃないだろうかと思うのだけど。

なるほどこれはボリス・グロイスの「認識できる差異」と「差異を超えた差異」の議論にもつながるのではないかと、帰りの電車でかんがえていた。黒沢清あたりが、こういうホラーの構造について言及していないだろうか。

 

以下、全然関係ないけど、5月に撮った写真⑩

不気味な写真をとってみたい。

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(film : Kodak Potra400)

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